補聴器-11
今回は耳かけ型の補聴器です。
さてどんな進化をしているのでしょうか?
まずは装着した時に外観から・・・
以前のイメージ
(この形が古いわけではありません。以前は
このような太いチューブを使用 すること
が多かったという意味です。勿論、現在販
売されている耳かけ型の中にも、より強い
パワーが必要な補聴器では、この太いチュ
ーブを使用する必要があります)
しかし軽度難聴から中度難聴、また一部の高
度難聴までカバーする耳かけ型の補聴器のチ
ューブが大変細く目立たなくなりました。
こちらのタイプはオープンタイプとも呼ば
れており、音のこもり感を大幅に改善した
初心者にはとてもなじみやすい音の補聴器
となりました。
ここで少しオープンタイプという補聴器の
弱点もお話しましょう。
「補聴器で音を出すということ」
補聴器で音を装用者の鼓膜に届けるとき
(骨導補聴器を除く)機械で増幅された音は
鼓膜に向かって音を押し出すイメージなので
すが、この表現で伝わりますでしょうか?
この音を出す時に高音域の場合、耳穴の空間
の中心部を、細い棒が鼓膜に向かってキーン
と押しているようなイメージですかね。(ス
ポーツで言いますと、剣道で「突き」をエイ
っと突くイメージでしょうか。)
逆に低音域の場合は、耳穴の空間の全部を
穴径全体を塞ぐような太い棒で鼓膜に向かっ
てドーンと押しているようなイメージです。
(スポーツでいいますと、お相撲で体ごと
寄り切りってイメージでしょうか。)
あれ・・・? 余計にわかりにくくなりま
したか?
高音域に比べ、低音域の音は耳穴全体を使
って進むので、隙間があると鼓膜とは反対
方向(外に)音が逃げ出してしまうような
性質があります。
ですから低音は、一度耳穴をしっかり密閉
してから、ドーンと音を送り出したいわけ
です。(高音は密閉しなくても鼓膜に向か
って直進的に音が進むので密閉にはほぼ関
係ないです)
↑ しっかり密閉しています。
しかし、密閉ばかりを気にして補聴器を作り
ますと、耳穴のこもり感が非常にでてしまい
自分の声もくぐもって大きく変化して聞こえ
たりします。
結果的に耳穴を密閉しすぎると、なかなか音
になじみにくい補聴器に仕上がったりします。
そこでベント(穴)を一部あけてこもり感を
逃がすことになりました。
低音もある程度確保しつつ、密閉感も和らい
だバランスのとれた補聴器を作るように工夫
した結果が、ベントの付いた補聴器です。
オープンタイプとはさらに大きく穴をあけ解
放感を実現し、また低音域はある程度あきら
めて、中から高音域に対しての利得(聞こえ)
を優先した補聴器が発売されたわけです。
以前の「号」でもお話しましたが、
「 加齢による難聴の特徴としましては、高
音域から聞こえが悪くなってくること。左右
の聞こえが同じように悪くなることです。」
と書きました。
また・・・
「 難聴の最も多い原因である加齢による難
聴 」とも書きました。
つまり多くの聞こえでお悩みのお客様は、主
に中から高音域で困っておられることがわか
ります。比較的低音は聞こえておられます。
そのため多くの補聴器初心者にとって、この
音域を改善しながら音のこもり感が少ないオ
ープンタイプが大変好評です。(低音域は少
し苦手)
現在は更に音質にこだわり、またチューブが
電線ケーブルになったせいでさらに外観が向
上した「RIC」レシーバーインカナルという
タイプの補聴器が好評です。
外観も耳穴型の最小タイプよりも目立たない
かもしれませんね。
次回は、このRICタイプを少し詳しくお話し
ていきます。